私は職業柄、これまで何度も自動車というものに縁があった。それこそ原付から始まり普通二輪や普通免許、大型二種などなど...免許を取得してこれまで20数年経つが、最近では世界でもまれにみる先進的な非接触式充電というマイクロバス「WEB-3」(ウェブスリー)の実証試験に立ち合わせてもらった。
まずこのバスの運転には基本的に大型一種免許が要る。マイクロバスを道路で動かすには大まかに緑ナンバー(営業車両)と白ナンバー(自家用)があるが、この車両は実証試験のために作られた車両なので運賃を必要としない白ナンバーであった。
燃料に関しては電動式なので軽油やガソリンといったいわゆる化石燃料は全く必要としない。電気コード(プラグ)を使用しない非接触式でIH調理器具の原理を用いたワイヤレス給電は、運転席からタッチパネルボタン一つだけで電気をまかなえてしまうというすごい仕組みだ。
充電の際は給電スポットの停止(停車)位置さえ整えば雨風は関係ない。車内のスイッチ操作で充電を行うことができるので、それこそ運転者には楽ラクなのだ。
乗降口に段差のないノンステップバスにおいては、段差をさらに低くするための技術「ニーリング」といわれる車高を下げるスイッチが存在する。サスペンションのエアー圧力を一時的に抜き全体的に車両を下げるもので、車いすやお年寄りなどの乗降をスムーズに行なうことを想定してつけられたものだ。
非接触型なので車体を下げなくても給電できるが、ニーリングを行なうことによって車体下部に取り付けられたコイルと地上のコイルとの距離を縮められる。こうすることによって得られるパワーは、近づけば近づくほど伝達における電気の損失を極力なくすことができる。
蓄電するにはバッテリーが必要になるが、このマイクロバスにおいては鉛電池ではなくリチウムイオンという携帯電話などに用いられる高性能なバッテリーが搭載されている。
さて走行時の話に移るが、バスやトラックの運転時にはバッテリーを通電させるメインスイッチを入れた上でエンジンキーを回す作業を行なう。この電動バスにおいても特別の方法ではなく、この方法が用いられた。
3秒間キーを目いっぱい回す仕掛けでこの操作は終わるが、これだけでは何の音もなく手ごたえを全く感じない。さらにブレーキを踏むことでインパネ部に緑色のレディランプが点灯するが、この合図だけでバッテリーからモーターなどに通電しスタンバイが完了する。
通常、運転時にはギア操作とクラッチペダルを踏むことになるが、この車両にいたってはマニュアルなのにクラッチペダルが存在しない。かといってアクセルを上げたまま、もしくはスピードが下がらないままギアチェンジを行なおうとすると「つなぎ目」に入らずにシフトノブにはね返されてしまう。
この事象はクラッチやフライホイールを取り外したことによる副作用とみられるが、停車から発信時にギアシフトができなくなる(アクセル及びシフトの微調整で復帰)ことがあるので細心の運転操作が必要だ。とはいっても全体的には既に実用の域に到達した感じである。
車内と車外はいたって静かであり、モーター音とインバーター、エアサス補正音が出る程度。エンジンによる振動がないので、運転技術さえ良ければ乗客はバス酔いすることもなく、あとは座席シートの質さえよければ完璧で乗り心地も申し分ないだろう。
このバスの最大のメリットはとにかく人と環境に優しいところ。排気ガスを出さず燃料に当たる電気代も安い上、車のメンテナンスも極力省略されており、実際に運転するドライバーさんも大変ありがたいと感じるはずだ。
課題として挙げられることといったら日産のリーフや三菱のアイミーブなどにも言える事だが、やはりインフラの整備と価格面であろう。公共的なバスに関していえば、そのために何億というお金が動くわけなので自治体などは慎重にならざるを得ない。
ただ、このまま化石燃料で走る車を放っておいては公害対策もままならずに世界中の自然環境は破壊される。温室効果ガス(CO2)などの影響で地球は温暖化による熱波で滅亡の危機にさらされてしまうのだ。
それならばいっそのこと、国による世界を巻き込んだ超優遇策で、40年後には地球上を電気自動車だらけにしてしまったらどうだろう。
現在研究が盛んな早稲田の電動バスをはじめ、慶応大学なども実用に向けた取り組みが進んでおり、このペースならば40年後ならば可能性も皆無ではないだろう。

