ファッションビジネスにおける七不思議のひとつとして挙げられても過言ではない。
このIT全盛期において日頃から私のような疑問を持っている方も多いだろう。
「しまむら」は創業当時、埼玉県小川町で島村呉服店として開業している。そのことを鑑みれば、商店の一つとして立脚し、顧客に奉仕の心で販売するという昔からの構図は現在でも変わりはない。
「和服」や「呉服」を見立て、仕立てをし、繕うことを基本としながらも、仕入れ先の取引、お客さんとの取引を大切にしていきたいという創業からの企業精神が、現代へと受け継がれているのであろう。
時代は移行して「ファッションセンターしまむら」となった現在、扱う品目は呉服や帯などから婦人服や子供服などへと変化していった。
しかし「島村呉服店」から「しまむら」と変わっても、対面販売を基本とするビジネスである。
ネット販売も併用となると、新しい客層を獲得できても細やかな動向を窺い知ることができず、方向性を見失ってしまうだろう。
創業当時のまま、今日まで初志貫徹の思いを貫いているとすれば、それはとても素晴らしいことだ。
製造型小売業のユニクロはすでにネット販売を始めており、こまめな戦略でトレンドをつかむことが得意である。
対するしまむらはバイヤー(買い付け人)経由が主な流通経路と想定でき、同じ種類の既製品を大量に抱えないところにオリジナリティを感じられ人気を博す。
さしずめ呉服店からの血を引く老舗百貨店方式の販売方法であろうか。
こういった理由からもわかるように、しまむらもユニクロもお客さんへの販売提案の仕方にそれぞれの良さがあるため、どちらが有利ということではない。
ユニクロのやり方を真似しても、しまむらが成功するとは思えないし、しまむらのやり方をユニクロが取り入れても人気が出るとは思えない。
同じ品質のものを大量に揃えるのが得意なユニクロは在庫調整がしやすく、通販に適す環境にあるが、少々オリジナリティに欠ける面がある。
一方のしまむらは同じジャンルでも多種多様の品揃えで、お客さんに飽きさせない工夫に長ける反面、現場を大切にする風潮があるために通販の環境にはそぐわない。
この違いに二者の性格が現れるため、おしゃれ好きな筆者にはこの動向をとても面白く感じる。
どちらが理想なのかはお客さんの判断によるが、ファストファッションを極める場合にはとりあえず「しまむら」と「ユニクロ」の両方を選ぶことが賢い選択といえそう。
ただし、成功のキーポイントとして一つ挙げられるのは、何につけてもユーザーとの距離を感じさせないこと。
「縁」と「絆」を大切にすれば、どんな苦難や障壁が訪れても互いに全て乗り越えられるはずだ。

