高級食材の代表格の一つであるズワイガニといえば、海産物のメッカである北海道を思い起こしますが、北陸を中心とした日本海側でもそれにひけを取らないカニなどの食料資源が豊富に生息しています。
特に新潟県沖や福井県沖はカニ漁が盛んな地域で知られていますが、その理由として結びついたのが今回東大などが明かした研究成果です。
新潟県沖ではこれまで、海底から大量のメタンが海中に放出されていたことが基礎調査で確認されていました。
東京大学 生産技術研究所 海中工学国際研究センターが開発した潜水自律型海中ロボット「ツナサンド」の撮影調査によると、ベニズワイガニはメタン湧出周辺で他の生息地域とは比較にならない(数百倍)ほどの数が確認されました。
その周辺にはカニにとっての大切な食料源であるバクテリア(細菌)マットと呼ばれる地域があります。
そこにはメタン酸化微生物が豊富に存在していて、そこに多数のズワイガニが群がっている様子を「ツナサンド」によって確認できました。
したがって微生物やその細菌を食べる付着性生物などがベニズワイガニにとって格好の餌となっている可能性があるということにつながります。
この調査成果によって、ズワイガニなどがどの場所に多く生息しているかは分かってきました。
消費者である我々にとってこの次に期待されるものは、やはり「漁獲」によって得られるズワイガニの豊漁です。
福井県にある水産総合研究センター・小浜栽培漁業センターでは、資源が減っているズワイガニの漁獲回復を目指し、1984年から稚ガニを育てる研究を開始しています。
ズワイガニなどは卵からふ化すると、ゾエアと呼ばれる幼生になり、脱皮を繰り返しながらメガロパに成長します。
メガロパは水深300メートルの場所で育って数ヶ月間で稚ガニとなりますが、その後の生態は未だ謎のベールに包まれているそうです。
これら20余年による蓄積された研究成果が実って、2009年には3万2千尾もの稚ガニ量産化に成功---国内はもとより、世界の研究成果を上回る世界記録が誕生しました。
この先、同センターでは「放流5ヵ年計画」に沿って稚ガニたちを放流し育てていくとしていますが、その道のりは未知の領域なだけに数々の困難が予想されます。
我々の手の届く食材として食卓に並んでくれる可能性を秘める稚ガニたち---ズワイガニにとっては不謹慎な話ですが、ビールや缶チューハイを片手にしながら、その成功を待ち続けたいと思います。

